高校に入って教科書、問題集、資料集、単語帳と本が一気に増えたのに、先生や先輩からは「参考書を買え」と言われる。どれが参考書で、手元の本と何が違うのかが分からないまま書店に行くと、評判だけで選んで途中で止まります。高校の参考書とは、教科書の説明を補って、授業がなくても1人で読んで分かるように作られた本のことです。教科書との違い、学校でもらった本のどれが参考書に当たるか、3つの種類、買うかどうかの決め方、レベルの合わせ方まで、順にそろえました。
参考書は、検定のない「自分で選んで読む本」
教科書と参考書の違いは、説明の細かさより先に、作られ方にあります。教科書は文部科学大臣の検定を受けた「授業の主たる教材」で、参考書は検定を受けず、生徒が自分で勉強するために作られた本です。学校は教科書を使う義務がありますが、参考書はどれを使うかを生徒が自分で決めます。
文部科学省は教科書を、教科の主たる教材として授業で使う生徒用の図書で、文部科学大臣の検定を経たもの、と定めています。学校教育法で小学校の教科書の使用が義務づけられ、この決まりは高校にも準用されています。だから教科書は全国どこでも内容の水準がそろっていて、先生の説明を聞きながら使う前提で、要点が短く書かれています。
参考書は、その短い説明では分からない人のために、公式の成り立ち、用語の意味、例題の解き方を、先生の説明なしでも読めるように書き足した本です。書店に並ぶ学習書は検定を受けていないので、著者の教え方がそのまま出ます。同じ単元でも、本によって説明の順番も言い方も違います。
この違いから、使い方も決まります。単元の全体を知る、まだ習っていない範囲を見る、入試の前に戻る、これは教科書。分からない1か所を深く理解する、授業に付いていけない単元を最初からやり直す、これは参考書です。参考書は教科書の代わりではなく、教科書を読めるようにするための本と考えてください。
学校でもらった本のどれが参考書に当たるか
高校の最初に配られる本は、教科書だけではありません。配られた本のうち、教科書と一緒に使う問題集は「傍用問題集」、図や年表の本は「資料集」、総合英語や国語便覧のように引いて読む本が参考書に当たります。名前を仕分けするだけで、何を買い足すべきかが見えてきます。
傍用問題集は、教科書の単元に合わせて問題を並べた本で、問題の数は多いのですが、解説が薄く、解答が配られないこともあります。1人で進めると、間違えた問題をなぜ間違えたかが分からずに止まります。これは参考書ではなく問題集なので、分からない所は別の本で読む必要があります。
総合英語は、英文法を項目ごとに例文と図で説明した本で、高校で配られる本の中では参考書そのものです。国語便覧や理科の資料集は、図や表を引くための本で、読んで理解するための説明は多くありません。単語帳は覚えるための本で、これも参考書とは呼びません。
つまり、学校の配布だけでは、数学や理科、古文の「分からない所を読んで理解する本」が無いことが多いです。英語は総合英語があるので、まず学校の1冊を使い、数学や理科で授業に付いていけなくなったときに、参考書を買い足すのが順番です。
参考書は「講義型」「辞書型」「教科書準拠」の3種類
書店の参考書の棚は、難しさだけでなく、作り方でも3つに分かれます。予備校の授業を本にした講義型、単元を引いて読む辞書型、学校の教科書に合わせた教科書準拠の3つで、目的によって選ぶ種類が変わります。
| 種類 | 中身 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 講義型 | 予備校の授業の板書と話し言葉をそのまま本にした型。説明が長く、冊数が増えやすい | 授業で分からず、単元を最初からやり直したい |
| 辞書型 | 単元ごとに説明と例題を並べ、索引から引ける型。総合英語やチャート式 | 分からない所が出るたびに引く。3年間1冊で使う |
| 教科書準拠 | 使っている教科書の会社と単元の順に合わせた型。教科書ガイドなど | 定期テストの範囲を教科書の順で復習する |
講義型は、著者の説明が細かく、読み物として読めるので、授業に付いていけなくなった単元をやり直すのに向きます。その代わり、説明が長いぶんページが多く、数学や理科は分野ごとに冊数が分かれます。理解が進んでいる人には、説明が長すぎると感じることもあります。
辞書型は、1冊で教科の全部を引けます。通して読む本ではなく、分からない所が出たときにその項目だけ読む本です。数学のチャート式や英語の総合英語がこれで、学校で配られることも多い型です。教科書準拠は、教科書の会社ごとに分かれていて、定期テストの範囲をそのまま復習したい人に向きます。
受験勉強を始めたばかりで教科書を読んでも分からない人は、講義型から入って、基礎が分かってから教科書に戻ると、復習にかかる時間が短くなります。大学の入試問題は教科書に載っている知識をもとに作られるので、参考書で分かったあとに教科書を読み直す順番は変えないでください。
買うかどうかは、教科書の例題を1人で解けるかで決める
参考書は、全教科そろえる本ではありません。教科書の例題を自分で解いてみて、解き方が浮かばない教科だけ参考書を買い、解き方は浮かぶが手が止まる教科は問題集を増やすと決めます。
解き方が浮かばないのは、理解が足りない状態です。ここで問題集を増やしても、解説を読んで写すだけになって、似た問題が出ると解けません。逆に、解き方は分かるのに計算や記述で止まるのは、演習が足りない状態で、参考書を読み続けても点は上がりません。どちらが足りないかで、要る本が変わります。
教科によっても違います。日本史や世界史は、教科書そのものの情報量が多く、教科書を中心に読んで、分かりにくい所だけ参考書で補う塾が多いです。補助の本は情報を増やすより減らすほうが分かりやすい、という指摘もあります。数学や英語、理科は、教科書の説明が短いので、参考書が要る場面が多くなります。
英語は「英語ができない」では選べません。単語、文法、英文解釈、長文読解、英作文、リスニングのどこで止まっているかを1つに絞ってから、その分野の本を探します。単語は覚えているのに長文が読めないなら、文法か英文解釈の参考書で、単語帳を増やしても変わりません。
レベルは模試の点と帯で合わせ、書店で読み比べる
買う教科と種類が決まったら、レベルを合わせます。直近の模試か定期テストの点で自分の位置を決め、帯の対象レベルと照らし、書店で同じ単元を読み比べるのが手順です。選ぶのは、少し難しいが読めばついていける1冊です。
- 直近の模試か定期テストの点を確かめる。志望校ではなく、いまの点で決めます。多くの人が自分の実力より高い本を選んで止まっています。
- 候補の本の帯と、本の最初にある前書きを読む。対象のレベル(教科書レベル、共通テスト、難関大など)が書かれています。
- 2、3冊で同じ単元のページを開いて読み比べる。同じ内容でも説明の順番と言い方が違うので、自分が一番分かる本を選びます。
- 字の大きさ、色、行間を見る。読むのが苦痛な本は、中身がよくても最後まで読めません。
- その本の例題を1問、その場で解いてみる。半分くらい解けるなら合っています。ほとんど解けないなら1段やさしい本にします。
難しすぎる本を選ぶと、やる気そのものがなくなります。たとえば数学のチャート式は、問題に付いたコンパスの数で難しさが分かれていて、コンパス4以上は多くの受験生に難しいので、まずコンパス3までを解ければ足ります。簡単すぎる本も得るものが少ないので、「少し難しいが、じっくり読めば分かる」に合わせます。
人気だから、友だちが使っているから、レビューがよいから、で選ぶのは避けてください。誰にでも合う参考書はありません。古本を買うときは、旧版が混ざっていることがあり、指導要領が変わった教科では内容が今の授業と違うので、版を確かめます。迷ったら学校や塾の先生に、いまの点数と一緒に相談するのが早いです。
買った日に始め、読んだら必ず自分で解き直す
参考書は、買っただけでは力が付きません。買った日に最初の章を読み、いつまでにどこまで読むかを決め、読んだ単元は必ず例題を自分で解いて確かめる、この3つで参考書が働きます。
買った日に始めるのは、やる気が一番高い日だからです。その日に、1週間で何章、1か月で何ページ、と書き込んでおくと、次に開くきっかけになります。表紙の裏に読んだ日と章を書くと、どこまで進んだかが分かり、戻る場所にも迷いません。
読むだけで終わらせないのが一番大事です。分かりやすい参考書ほど、読むと自分が賢くなった気がしますが、読んで分かることと、自分で解けることの間には大きな差があります。解説を読んだあとに、答えを隠して同じ例題を自分で解き、答えが合うまでやります。答えを覚えている状態と、考え方を自分で再現できる状態は別です。
読む回数は、通して読む1回目、例題を解きながら読む2回目、分からなかった所だけ戻る3回目の3回が目安です。参考書を2、3周してから問題集に移ると、解説を読まなくても解ける問題が増えます。学校の授業がある教科は、授業の前日に同じ範囲を参考書で読んでおくと、授業が復習になります。
苦手な1教科だけ、参考書が要るかを確かめる
高校の参考書とは何かが分かったら、全教科の本を探しに行くのではなく、1教科で試します。いま一番点が取れていない教科の教科書を開き、直近の単元の例題を自分で解いて、解き方が浮かばなければ参考書、浮かぶが止まるなら問題集、と決めてください。
参考書が要ると決まったら、種類を選びます。授業に付いていけず単元ごとやり直すなら講義型、分からない所だけ引きたいなら辞書型、定期テストの範囲を教科書の順で復習したいなら教科書準拠です。英語は学校の総合英語があるので、先にそれを引く習慣を付けてから、足りなければ買い足します。
書店では、帯のレベル、同じ単元の読み比べ、例題1問の3つを通します。家に帰ったら、その日に最初の章を読んで計画を書き、読んだ単元の例題は答えを隠して解き直します。1か月続けて、教科書の例題が解けるようになっていれば、その参考書は合っています。
参考書は、教科書を1人で読めるようにするための本です。教科書、問題集、資料集と役目が違うことを分かったうえで、足りない1冊だけを足す。この順番なら、買ったのに開かない本が増えることはありません。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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